洗顔後の「つっぱり感」= 乾燥そのものとは限らない|研究から見えてきた肌の変化
1 Jul 2026 • 加賀 裕章

洗顔後の「つっぱり感」= 乾燥そのものとは限らない|研究から見えてきた肌の変化
この記事の結論:
洗顔後のつっぱり感は、単に「乾燥したから」ではなく、乾燥する過程で起きる肌の変化を感じている状態かもしれません。
そのため、洗顔料のつっぱりを評価するときは、洗った直後だけでなく、3分後ほど経った肌の感覚も確認することが大切です。
「洗った直後は気持ちいいのに、少しすると急につっぱる。」
「化粧水を急いでつけたくなる。」
「笑うと頬が引っ張られる感じがする。」
洗顔後にこんな違和感を覚えたことはありませんか?
つっぱり感については、
「洗浄力が強すぎて皮脂を取りすぎたから」
「肌が乾燥したから」
と説明されることが一般的です。
もちろん、それも一因と考えられます。
しかし近年の研究からは、
つっぱり感は単に乾燥した状態そのものではなく、乾燥する過程で起きる肌の変化と関係している可能性
が見えてきています。
今回は複数の研究をもとに、洗顔後のつっぱり感について整理してみます。

洗った直後は気持ちいいのに、なぜ後からつっぱるの?
つっぱり感について考えるうえで興味深いのは、
「洗顔した瞬間につっぱる」というより、「少し時間が経ってからつっぱる」
と感じる人が多いことです。
もし単純に「乾燥したから」だけで説明できるなら、洗顔直後から強くつっぱっても不思議ではありません。
ところが実際の肌では、もう少し複雑なことが起きている可能性があります。
1990年代の研究では、界面活性剤(洗浄成分)で処理した角層の水分量が一時的に増加することが報告されています¹。
つまり洗顔直後の肌は、「すでに乾燥しきった状態」というより、
「これから変化していく途中の状態」なのかもしれません。
肌は乾燥すると少しずつ変化する
では、その後の肌では何が起きているのでしょうか。
2010年代の研究では、角層は乾燥する過程でわずかに収縮することが報告されています²。
例えば、濡れたスポンジが乾燥すると少し縮むように、角層も水分が減ることでわずかに変化します。
もちろん、その変化は肉眼で確認できるほど大きなものではありません。
しかし肌表面では、
・水分量の変化
・わずかな収縮
・肌状態の変化
が起きている可能性があります。
つまり洗顔後の肌では、
単に水分が減るだけでなく、肌そのものが少しずつ変化している
と考えられています。
私たちは「乾燥」ではなく「変化」を感じているのかもしれない
洗顔後のつっぱり感を思い出してみてください。
多くの場合、
「カサカサしている」
というより、
・引っ張られる感じ
・動かしにくい感じ
として表現されることが多いのではないでしょうか。
ここが近年の研究で特に興味深いポイントです。
2023年の研究では、こうした乾燥に伴う肌の変化と、私たちが感じるつっぱり感との関連が報告されています³。
研究者らは、
・肌で起きる変化
・被験者が感じたつっぱり感
を比較したところ、両者の間に強い関連性を確認しました。
もちろん、つっぱり感の仕組みがすべて解明されたわけではありません。
しかし現在の研究からは、
「つっぱり感=乾燥そのもの」
というより、
「乾燥する過程で起きる肌の変化を感じている状態」
という見方が提案されています。
私たちが感じる「引っ張られる感じ」や「動かしにくい感じ」も、こうした変化と関係しているのかもしれません。
だから“洗った瞬間”だけでは判断できない
今回の研究から見えてくるのは、
洗顔料の後肌感は、洗った直後だけでは判断しにくい
ということです。
洗顔直後は快適に感じても、
数分後になると急につっぱり感が出てくることがあります。
そのため洗顔料を評価するときは、
・洗った直後の印象
・3分後の肌の感覚
の両方を見ることが大切です。
実際、洗顔直後は好印象だったのに、時間が経つとつっぱりが気になることもあります。
洗顔料の印象は、洗った瞬間だけでは決まらないのです。
洗顔料を評価するときのポイント
今回の記事のポイントは次の3つです。
・洗顔後の肌は、すぐに状態が決まるわけではない
・つっぱり感は、乾燥そのものではなく乾燥する過程で起きる肌の変化と関係している可能性がある
・洗顔料の評価は、洗った直後だけでなく、少し時間を置いた後の肌の感覚も確認することが大切
もし新しい洗顔料を試すときは、
「洗った瞬間はどう感じたか」だけでなく、「3分後にどう感じたか」も意識してみてください。
(本記事ではひとつの目安として3分後をおすすめしています。)
また、つっぱり感が出る場合は、
・すぐにつっぱるのか
・数分後につっぱるのか
という時間差にも注目してみると、洗顔料ごとの違いが見えやすくなります。
まとめ
「洗った直後は良かったのに、あとからつっぱる。」
そんな経験があるなら、それは気のせいではないのかもしれません。
近年の研究からは、洗顔後の肌では時間とともに状態が変化し、その変化がつっぱり感と関係している可能性が示されています。
つっぱり感は、単純に洗浄力の強さだけで決まるものではありません。
今回紹介した研究からは、
洗顔後の肌に起きる変化そのものが、つっぱり感に関係している可能性
も見えてきています。
そのため、
「つっぱる=洗浄力が強い」ではなく、「洗顔後の肌にどのような変化が起きているか」
という視点で考えることが大切です。
洗顔料を選ぶときは、
洗った直後だけでなく、3分後の肌の感覚にも注目してみてください。
洗顔料を見る視点が少し変わるかもしれません。
参考文献
1) Wilhelm, K. P.; Cua, A. B.; Wolff, H. H.; Maibach, H. I. Surfactant-Induced Stratum Corneum Hydration In Vivo: Prediction of the Irritation Potential of Anionic Surfactants. J. Invest. Dermatol. 1993, 101 (3), 310–315. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022202X9390532M
2) German, G. K.; Pashkovski, E.; Dufresne, E. R. Surfactant Treatments Influence Drying Mechanics in Human Stratum Corneum. J. Biomech. 2013, 46 (13), 2145–2151. https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0021929013003114
3) Bennett-Kennett, R.; Pace, J.; Lynch, B.; Domanov, Y.; Luengo, G. S.; Potter, A.; Dauskardt, R. H. Sensory Neuron Activation from Topical Treatments Modulates the Sensorial Perception of Human Skin. PNAS Nexus 2023, 2 (9), pgad292.
https://academic.oup.com/pnasnexus/article/2/9/pgad292/7278834
